もう十数年前になりますが、インドで佐々井秀嶺(ささいしゅうれい)という感動的なお坊さんに出会いました。
ご存知のようにインドは今も“カースト”という身分制度が残っています。日本では考えられない階級社会です。冗談で「うちの職場もカーストみたいなもんだ」などとグチる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・。そんな生やさしいものではありません。いわば江戸時代の士農工商であり、職業や結婚をはじめ、たくさんの差別があるのです。最底辺のカーストに至っては「見ても触っても汚(けが)れる」とさえ差別を受けます。同じ人間でありながら、生まれながらにして好きな人と結婚もできない、自由に職業も決められているとなれば、一体どんな気持ちでしょう。