「穏やかで真面目で控えめ」そんな風に評されることの多いミャンマーの国民性は、一方で、自らの頭で考え、行動するのが苦手という側面もあります。
子どもたちに、そしてミャンマーに「自分の頭で考え、行動する力」を育てるために、私たちはこれまで8年間活動してまいりました。
ミャンマーでは慢性的な学校不足が問題となっています。校舎を建設しても、生徒数が増えて、また別の校舎が必要になるという状況が続いています。プロジェクトを開始した2013年当時で、イラワジ管区全体で年間150から200の学校が建設され、2018年頃には年間400から500のペースで建てられていました。それでもまだ、学校の数は足りていません。
また、ミャンマーの教育問題は、学校の数が充足するだけでは解決できません。根本的な問題は学校教育の中身にあります。学校教育の質を向上するためには、教員も「自分で考える教育方法」を学び直す必要があります。ミャンマーに必要なのは「自立」であると考え、ARTICはイラワジ管区で学校建設をきっかけに地域の自立を促すための支援を行なっています。
ARTICでは、ミャンマーの人々が自立・自助できるよう、学校を建てるだけでなく、人を育てることを目標としています。
Milestone Movement in Myanmar (=MMM)は普通の開発のプロジェクトとは異なり、3つのプロセスにより、人々の自立を促します。
1年目は、一人ひとりが自分達の村や子供たちの将来に対して責任を持ち、皆が団結することを目指して村人は建設費の25%を出し合い新校舎を建設します。コンヤ(噛みタバコ)やお酒などの無駄なお金を教育に使うことで彼らの意識も変わっていきます。村人はお金を集めきった達成感と学校建設を成し遂げた2つの成功体験を共有します。
2年目は、学校が更に発展し持続していくことを目的に村人が集めた建設費の25%を返還し開発プロジェクトを実施し、次の事業を行うための資金を確保します。
3年目は、開発プロジェクトで得た収入に加え、一年目の学校建設時と同様に村人からも寄付を募り自立事業を実施します。これらをきちんと守って実施した村は3年目以降自走できるようになります。