ARTIC平野さんとの協働活動は2014年のソーラーランタン寄贈から始まり、さらに2018年より開始した弊社創業100周年記念プロジェクトの一環で、無電化の村にソーラーシステムを寄贈し、その電気の活用で現地コミュニティの持続可能な発展への支援を目指した活動も一緒に参画いただいています。そんな中で平野さんから学ばせていただいたのは大きく3つあります。
貧困地域に物資を寄贈することは、現地の生活環境を改善する上で重要であると思われますが、それよりも大事なことは現地住民が各自、力を合わせて課題解決に向き合う意識の醸成であることを学びました。ARTICさんでは弊社からの寄贈品であるソーラーランタンやソーラーシステムをすべて無償で村人に寄贈するのではなく、貸出制にして各村人から少額の使用料を徴収。その集めたお金を村の共用施設の改善(学校施設の充実化など)の費用に充てることで、個人とコミュニティ両方での環境改善に役立てる活動をしていただいております。我々だけでは、単に個人で使用いただくことしか考えられませんでしたが、貸出制にすることにより、お金を生み出し、それを村のコミュニティ環境の改善につなげる。そういった「知恵」は、現地の村人が協力し合っての課題解決力の向上、つまり村の「自立心」醸成につながる活動であることを学びました。
また、平野さんはミャンマーの子供たちの未来のためには従来教育である暗記中心の学習だけでなく倫理観の醸成、つまり社会での善悪の判断基準となる考え方を身につけることがとても重要であると考え、その具体策として、弊社創業者松下幸之助(※以下「幸之助」)の思想や生い立ちを教材にした読書感想文コンクールの企画を立上げ、現在も協働で継続実施しています。教材に書かれている幸之助の生い立ちを知ることで、貧しくても体が弱くても逆境は打開できる、夢はかなえられることを知ってもらうのがねらいです。このような活動に商品寄贈以外で弊社のリソースを活かしていただいた平野さんには大変感謝しておりますし、クーデターが起こり、ミャンマー社会が大変混乱している今だからこそ、こういった「心の教育活動」は非常に大切ではないかと改めて感じます。幸之助は決して「神様」ではありませんでしたし、失敗もしましたが、事業で社会の繁栄を実現するために一生を捧げた方でした。我々もその幸之助が遺した経営理念を実践しなければなりませんが、ミャンマーの子供たちにも、少しでも今後の人生の指針になれば幸いに思います。
平野さんは毎週ヤンゴンから、九州ほどの面積のあるイラワジ管区の各村に車で往復約10時間前後かけて移動し、独学でマスターされたミャンマー語で村人に正しい生き方、また教育の大切さを熱く語りかける活動を継続されています。何度か同行させていただきましたが、相当な重労働だと思いましたし、さらに村人の中には平野さんとの約束を守らなかったり、嘘をついたりとなかなか思い通りにいかない精神的な苦労も、目の当たりにしました。しかし平野さんは、これは「仏様が自分に与えた使命」と捉えて、毎日やるべきことを行い、言うべきことを言う。信念をもって行動し続けている人の迫力というか、強いオーラをいつも感じます。
上記学ばせていただいた3点は、我々も日々の業務において踏まえるべき非常に重要な基本姿勢と言えますし、改めて肝に銘じなければならないと強く思いました。大変貴重な学びの機会を提供いただき大変感謝しています。こんな大変な時だからこそ、平野さんのような、厳しくとも愛情溢れる方は必要だと思います。ぜひ今後ともご教授の程、宜しくお願い致します。