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チベット難民居留地 (インド) 開発事業(1998~)

チベット難民居留地(インド)の歴史

主に1959年のダライ・ラマ14世のインド亡命とそれに続く数万人のチベット人の流入を受けて形成されました。
インド政府の支援と亡命政府の主導により、多くの居留地(インドを中心にネパール、ブータンの各地に約35か所)が設立され、チベット文化の維持・継承の拠点となっています。

現在の生活の実情

祖国を追われた難民という背景に加え、彼らはインド国籍を与えられていないため、安定した職に就くのも難しく、アクセサリや編み物、手工芸品を売って生計を立てている状況です。
こうした収入の低さや不安定により、子供たちの教育の機会も失われています。

また、インド全体において水不足は深刻な社会問題となっていますが、地方や貧困地区は上下水道などのインフラが未整備のところが多いため保健衛生環境の劣悪を招いています。

ARTICの5つの活動

①チベット語の書籍出版事業

チベット人にとってアイデンティティと文化の維持は最も大きな課題です。
インドに住むチベット難民の児童たちは母国語や母国の文化に触れる機会がどうしても少なくなってしまいます。

ARTICは教育支援として、これまでに6万冊以上(初版)のチベット語絵本の配布を支援してきました。
このチベット語出版事業はインド・ダラムサラにあるチベット中央政府の教育省の中にある出版局との話し合いで進めています。
出版局はチベットの独特な文化、伝統、言葉を広めるという特別な役割を担っていますのでその一助として、毎年3~4種類のチベット語書籍の出版を支援しています。
それぞれ約3,000冊を印刷し、インドを中心とするチベット難民の学校に配布しています。

②4州公立病院における上下水道・衛生環境の整備

目的:安全な医療環境を確保し、感染症の脅威を断つ

インドの多くの地域では、公立病院でさえ上下水道・トイレ関連の老朽化が深刻で、安全な医療行為を行うための衛生的な水の確保が困難です。
水不足や排水の不備は、コレラや多剤耐性菌(NDM-1など)を含む感染症のリスクを劇的に高める根底原因となっています。

上水施設の整備
活動内容活動の特徴活動内容達成された効果
水源確保新規井戸の堀削雨水涵養システムと連携させ、揚水量の増加を図る渇水期における水不足の解消
地下水増強雨水取水用金属屋根の設置(病院、診療所、付属作業棟、スタッフ棟の各屋根)全長約150mの水道管で雨水を雨水涵養ピットに導水井戸周辺の地下水位を上げ、揚水量を増加
安定供給新規高架水槽の建設(病院用、診療所用、スタッフ棟用)新規井戸、既存井戸、上水フィルターと接続し、安定した排水網を構築渇水期を含め、1日も断水することなく医療活動が可能に
電力・節約井戸水汲み上げポンプ用ソーラーパネルの設置(診療所屋上)雨水涵養システム用金属屋根の上に設置井戸水汲み上げ電力に加え、診療所電気の大半を賄うことを実現
水質向上飲料水用浄水フィルターの設置高架水槽から蛇口への導水途中に設置飲料水として適切な水質の確保
下水施設の整備
区分 活動の特徴 対象者・接続先 達成された効果
スタッフ用トイレ 既存トイレの基礎部分を残した全面改修(壁、屋根等の新設) 病院職員、必要に応じた外来患者 老朽化による使用不可の状態を解消し、毎日フル稼働が可能な衛生的な施設を確保
外来用トイレ 車いす対応および授乳室付きの外来用トイレを新設 外来者 既存施設で外来者に不便をきたしていた問題を解決。バリアフリー化と授乳環境の提供により、利便性を大幅に向上
排水システム 病院前の道路側側溝の排水能力改善 病院施設全体、周辺道路 既存の排水不良問題を解消し、病院施設からの汚水・雑排水のスムーズな確保
ワークショップ

水と衛生に関する参加型ワークショップを開催。
地域ごとに土地の特性があるため、土地の状況を踏まえながらどのように衛生的な環境を維持管理していけばいいか、皆で問題点を出し合い、解決策を導き出しました。

参加型にすることで、当事者が当事者意識を持ちながら現状を正しく把握し、課題解決へと実際に行動を起こしていける環境づくりに努めました。

③2州の集落にて上下水道・衛生環境の整備

分野 整備の目的 実現した具体的な内容 整備効果
水道管の敷設・更新 水を安全に届けるための道づくり ・新規の導水管を新しく敷設
・水槽から各家庭へつなぐ配水管を新設
「水源から家まで」の水の通り道が安全になり、蛇口から出る水の安定供給を確保しました。
集落内水槽(貯水施設) 水を大量に貯めておくタンクの設置 コンクリート製の大きな高架水槽、地下水涵養のため雨水貯水槽、樹脂製接地型水槽を設置 災害や断水に備えて水をしっかり貯められるようになり、高い場所から安定した水圧で水を送れるようになりました。
排水路・道路側溝 雨水や生活排水をスムーズに流す 傾斜が大きな坂道がある集落に、雨期の備えとして道路の脇に側溝や排水路を建設 大雨が降っても水が溢れにくくなり、道路の冠水や土砂崩れを防いで生活の安全を守ります。
公衆トイレの改修・建設 公衆衛生環境の改善 ・学校や福祉センター、居留地事務所の古いトイレを改修・新築
・サッカー場などの集会所にも新しい公衆トイレを設置
公共施設や学校のトイレが清潔で使いやすくなり、地域の衛生環境と人々の利便性が向上しました。

④家屋の回収事業

ノルゲリン難民キャンプはインド中央部に位置し、約1100人のチベット難民の方々が住んでいます。
ここはデカン高原の温度差の激しい地域で、夏には気温が50℃近くまで上がり、雨期ともなれば集中豪雨も激しい所です。
チベットからこの地に逃れて40年以上経ちますが、この過酷な環境のせいで、泥壁と簡易な瓦で作られた家屋は老朽化し、今や崩壊の危機にあり、人々の生活を脅かしています。
さらに熱帯特有のシロアリや害虫が家屋の老朽化に拍車をかけています。

ARTICでは225戸の世帯のうち、特に傷みが激しい190戸の屋根の改修と壁の改修工事を行いました。
屋根や窓に透明のガラス板をはめ込んだり、窓を取り付けることにより、部屋に太陽光が入り、日光消毒で衛生に保てるようにしました。

⑤故郷への帰省支援事業

中国国境付近の最貧困地域トゥティン村のチベット難民の子どもたちを支援しました。
ダライ・ラマ法王設立の寄宿学校で学ぶ彼らは、高額な交通費のため数年に一度しか帰省できません。
そこでARTICは「故郷への帰省支援事業」を実施し、25名ずつ交代で親元へ帰る機会を提供。
帰省した子どもたちが学校で学んだ衛生や仏教教育の内容を村人に伝えることで、村人の意識も変化していきました。
結果、村人の教育への理解と関心が高まり、学校への入学希望者が増加するという成果を生みました。

地図で見るチベット難民居留地の活動地域

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