イラワジ管区パテイン市

ARTIC の支援について地域からの状況報告

~ARTICミャンマー活動地域~

イラワジ管区教育事務所
(元)副所長からのメッセージ



U Mahn Thein Kyaw
ウー・マン・テイン・ジョー

ある日、イラワジ管区教育事務所に外国人とその通訳がやってきました。通訳者はラカイン族でした。彼は外国人の上司を紹介し話し始めました。通訳の説明によると、その外国人は日本から来た平野喜幸氏で、イラワジ管区地域で教育改善や地域開発プロジェクトを実施しているINGO、ARTICのマネージング・ディレクターだと言いました。これが私とARTICの最初の出会いです。

私とARTICとはとても深い関わりがあります。長く一緒に働くうち、ARTICについて詳しく知ることができました。ARTICは “Association for Rengein Tanjoji International Cooperation “の略です。

ARTICはイラワジ州政府とMOUを締結し、イラワジ管区の教育改善に取り組むプロジェクトを始めました。第1期は2013年61日から20175月31日までの1年間でした。20131015日、イラワジ州のU Thein Aung州首相と、日本財団の大野常務理事、ARTICの平野喜幸ヤンゴン事務所長との間で、第一期のMOUが締結されました。覚書の内容は以下の通りです。

1)より多くの生徒に基礎教育の機会を提供し、生徒たちが健全な学校生活を送れるようにする。

(2) コミュニティが実施・運営するコミュニティ開発プロジェクト(CDP)により、コミュニティの生計向上を図る。

(3) CDPによって得られた資金を用いて、持続可能で効果的な学校運営を促進すること。

(4)イラワジ地方の地域社会を活性化するために、コミュニティの住民の能力を開発する。

(5) コミュニティや生徒から尊敬される真の教師を育成する。

 

イラワジ州の第1MOUフェーズでは、43の小中高校で新しい校舎が導入されました。第1期の総予算は392,194MMKです。また、ARTICは、協力と団結が強い学校や村をいくつか調査しました。そして、その中から10名の生徒を選抜し、先生1名を引率者として日本への研修旅行に送り出しました。

1MOUの期限が切れた時に政権が交代し、第2MOUを延長する時期になりました。そこで、201667日、U Mahn Johnnyイラワジ州首相、日本財団の森常務理事、ARTICの平野喜幸ヤンゴン事務所長との間で、第2MOU201661日~2019531日)が締結されました。MOU2フェーズでは、今後の学校建設のための調査とモニタリングを行い、学校建設や地域開発プロジェクトのために地元の行政官と交渉を行いました。ARTICは、各プロジェクトの実施において村人や学校が直面する強みと弱みを教育省と地元行政機関に提出し、共に検討しました。平野ヤンゴン事務所長は、教師の能力を高めること、特に意識や態度を変えることが必要だと考えました。そのためには、先生のトレーニングセンターの開設が必要だと考え、イラワジ管区教育事務所にプロジェクトを提案しました。イラワジ管区政府はARTICの提案を考察し、初等教育局から教育省に提出しました。

その後、人材育成センターは、実施計画提案に基づいて、初等教育局は2020726日付のレターNo.Department Branch (22.A)/11269/ARTIC/2018により、許可を下ろしました。政府が提案を許可すると、ARTICはパンタノウTownship ミンダス村に人材育成センターを建設しました。人材育成センターは20181117日に正式に発足し、式典にはイラワジ地域の行政機関、イラワジ地域のカレン民族大臣であるMrs.Gah Moe Myat Myat ThuARTICの責任者、イラワジ地域のチーフ教育官であるU Kyaw Winが出席しました。人材育成センターの 4期生が終了した際には、ARTIC120人の卒業生の中から8人の小学校の先生を選び、その8人の先生と1人の指導者、1人のARTICスタッフを日本の玉名市に7日間のスタディーツアーに送りました。この記事を書いている時点では、人材育成センターの研修は9期まで完了しており、1期生から9期生までの研修修了者は270名です。

2フェーズのMOU2019631日に期限切れとなりました。しかし、実施すべきプロジェクトが多数あるため、私たちは再びMOUの延長を求めました。社会的・政治的問題の変化により、201961日から2020831日までの13カ月間、第3MOUを締結することができました。2019710日、イラワジ州政府のU Hla Moe Aung州首相、日本財団の森常務理事、ARTICの平野信行常務理事の間で、第3フェーズのMOUが締結され、現在もこのプロジェクトが続いています。アルティックのプロジェクトの成功を願い、ミャンマーが発展することを願います。

国づくりは人づくり