失われてゆくアイデンティティーを守り、伝えていくための書籍出版

ARTICが出版したチベット語の書籍
チベット語の本を読む子ども達

チベットの文化、伝統、言葉を広める書籍出版

チベット語出版事業はインド・ダラムサラにあるチベット中央政府の教育省の中にある出版局との話し合いで進められます。出版局はチベットの独特な文化、伝統、言葉を広めると言う特別な役割をになっています。そしてそれは、各種の出版物を刊行することにより行われますが、その発行物には、チベットの大衆や子供達にアピールする、いろいろな分野の小説、民話、宗教書、文化関連の書籍、伝統関連の本、そしてチベットの民族詩等が含まれます。また、世界の偉大な文学の翻訳も行っています。

インドへの同化政策によるアイデンティティーの喪失

1959年の亡命以来ダライラマ法王は、常々亡命チベット人に対してインド社会との融和を指導してきました。しかしこの融和政策は亡命後50年を経て、皮肉な結果をもたらしています。それは亡命2世、3世たちのインドへの同化によるアイデンティティーの喪失です。近年若い世代のチベット人たちは、言語をはじめとする文化や伝統、習慣などをおろそかにするようになってきており、亡命政府はこれに危機感を持っています。なぜなら、本国チベットは自治区という形で中国の大きな影響下にあり、これらを守り維持していくのは亡命チベット人しかいないからです。
現在、チベット人にとってアイデンティティーと文化の維持は最も大きな課題です。そこで亡命政府教育省はチベットの独特な文化、伝統、言葉をチベットの若い世代に教え、守るという主目的を満たすために、印刷・出版物の充実と、それをインドやネパールやブータンにある全部87のチベット人学校のネットワークを通じ、合理的に配布することを最重要目標としました。
当会は毎年3~4種類のチベット語書籍の出版を支援しています、それぞれ約3,000冊を印刷し、インドを中心とする亡命チベット人の学校に配布しています。